出張報告:オーバーツーリズム研究会2025(M1・高野健太郎)
はじめに
こんにちは。M1の高野健太郎です。
2025年2月20日に北海道札幌市で開催された観光情報学会オーバーツーリズム研究会(以下OT研究会)で現在の研究進捗について発表しました。本文では、研究会で得られた知見などについて報告します。
OT研究会の概要
開催日:2025年2月20日
開催場所:小樽商科大学 札幌サテライト
主催:観光情報学会
発表内容
「再帰ロジットモデルを用いた観光客動態シミュレーションの試作」というタイトルで発表しました。内容は京都市を対象としたMASSツール環境の構築とその開発進捗についてです。他の発表された方々も京都市でのオーバーツーリズムについて触れていたので、皆様の研究を踏まえた、今後の研究につながる貴重なコメントを頂けました。特に移動者エージェント内に実装した、移動手段決定モジュールのモデル実装において、バス停や地下鉄の駅における待ち時間やモデル設計に関する意見などをいただくことができました。
その他の発表
講演論文集:https://tp.gigapod.jp/g4e16dc868720c7de9b2fcf2d2aad4e4050123056
「混雑緩和アプリのオーバーツーリズム軽減に関する考察」
日本におけるオーバーツーリズムの現状と、混雑状況を可視化するアプリを活用した対策の検討についての研究内容でした。訪日観光客の増加、政府の政策、インフラの未整備など、オーバーツーリズムの要因は多岐にわたります。それに対し、観光地の分散化、観光税の導入、各種規制の強化といった対策が講じられています。発表では、これらの対策に関する検討の一環として、サーバー管理や、私の研究で行っているシミュレーションを活用した分析が紹介されました。
「GMM-NMFモデルによる携帯GPSデータからの訪問行動クラスタリング」
GPSの軌跡データをもとに、多次元ガウス混合モデル(GMM)と非負値行列因子分解(NMF)を組み合わせることで、人々の行動パターンを分類する手法を提案する内容でした。本手法は、同じ地点では似たような傾向を持つ人々の活動が発生する点に着目し、GPSデータのみから行動の特徴を抽出することを目的としています。
まず、GPSデータを200mメッシュ内で記録された滞留時間に基づいて分類し、滞在時間が5分以上のセグメントを「滞在」、5分未満を「移動」と定義しました。さらに、緯度・経度、居住地からの距離、開始時刻、滞在時間の5つの情報を特徴ベクトルとして設定し、データの整理を行いました。次に、GMMやNMFを用いて、これらの特徴ベクトルをクラスタ分類し、頻度行列化を実施することで、人々の行動パターンを解析しました。
この手法により、観光や買い物といった抽象的な行動目的をGPSデータのみから推測することが可能となりました。今回の発表では京都市を対象地域として分析を行い、限られた情報からでも人々の行動目的を推測できることを示しました。今後はデータの追加を進め、観光分野などへの応用を進めるそうです。
現地の様子
*左:会場の様子 右:会場付近(札幌駅周辺の大雪の様子)
懇親会
研究会終了後、ジンギスカン札幌「大一」で開催された懇親会に参加しました。
ラムチャックやサッポロビール黒ラベルなど、初めて口にするものが多く、どれも非常に美味しかったです。 また、一緒に参加した北海道大学のM2の方と研究内容や就職について多く話し、とても有意義な時間を過ごせました。
当初は一人5,000円の予定でしたが、先生方が私たちの分までご負担くださいました。心より感謝申し上げます。
全体の感想とまとめ
研究会の発足から今回で2回目となりましたが、他大学の先生方に加えて、企業や札幌自治体の方々も参加されており、非常に活発な議論が行われていました。一方で、学生の参加者は私を含めて2名のみであったため、次回はCDLのメンバーも研究会に参加し、より多くの学生による発表が行われることを期待しています。